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暇人の戯言

自称暇人が暇な時につらつらと好き勝手書かせていただきます。

遭難しないための登山に必要な大事なこと ~「体」編~

3つの大事なこと

 毎度冒頭で書いていますが登山には「心技体」の3つが必要だと考えています。私は「心技体」をバランスよく持っていないと遭難事故につながってしまうと自身の経験から身に染みて感じています。最終回の今回は「体」について考えていきます。

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登山の体力の過小評価

 野球にしろ、サッカーにしろ、どのようなスポーツをするにしても基礎体力が必要だという事は言うまでもないと思います。登山をスポーツとするのかという議論はおいておくとして、やはり基礎体力は必要です。しかし、登山は他のスポーツと違い自分に合ったペース配分で行動することができるので場所を選べば普通に体力がないという人でも意外と登れちゃったりします

 

疲労の危険性

 先にも述べた体力がないという人でも意外と登れちゃったりすることが登山の落とし穴で、これが重大な遭難事故につながってしまうことが多々あります。前回も掲載したグラフから「疲労・凍死傷」が9.7%と4番目に遭難事故が多い態様となっています。しかし、これはあくまで明確に疲労が原因で発生した件数であり、「疲労によって足元が不安定になり滑落した」「疲労によって持病が発病し行動不能となった」「疲労によって判断力が低下し道に迷った」といった遭難はカウントされていません。警察の山岳救助隊では、疲労は様々な遭難事故に広範かつ複合的にかかわっている可能性が極めて高いと言っています。しかし、どれだけ疲れて遭難事故につながったのか把握しておらず、疲労による遭難の実態をつかむことは難しいとなっています。

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長野県警察本部地域部地域課発表の統計資料より 

 

登山に必要な体力

 登山に必要な体力を持っている人と言えば筋骨隆々な肉体の登山家たちを想像するかもしれませんが、登山には里山ハイキングからクライミングや高所登山など様々な種類があります。しかし、どのような種類の登山も根本となる体力は同じであると、健康運動指導士、栄養管理士の資格を持つ登山ガイドの芳須勲さんは著書の中で述べています。ここではその中から「行動体力」と「防衛体力」の二つを紹介します。

  • 行動体力

 行動体力とはバテずに登ったり、危険を避けて怪我を防ぐ“力”のことで7つに分類できます。

 

  1. 筋持久力

ゆっくりとしたペースで筋肉に負荷をかけ続ける時に必要な力のことで、長い登りなどで発揮することができる力。

 

  1. 全身持久力

酸素を取り込み、循環させ、効率よく筋肉で使う能力であり、高所登山では特に重要。

 

  1. 筋力・瞬発力

その名の通り瞬間的な大きい力のことであり、危険回避やレスキューの時に発揮する。

 

  1. 敏捷性

転びそうな時に素早く反応し、危険を回避する能力。

 

  1. 巧緻性

岩場を正確な足運びで渡るなど、巧みに動作する能力。

 

  1. 平衡性

ヤセ尾根や荒れた足場でもバランスよく歩く能力。

 

  1. 柔軟性

これもその名の通り関節や筋肉の柔らかさのことで、怪我の予防、疲労軽減に不可欠である。

 

  • 防衛体力

 これは体温調節や高度順応など、厳しい登山の環境に耐えられる体質、免疫力といったばい菌などに対する抵抗力、トラブル時における冷静な判断力などです。難しい言葉で書いていますが要するにアウトドアに強い体質です。私の感覚ですが、普通に運動経験のある人は行動体力はあるのですが、多くの人がそれだけでいけると勘違いをして防衛体力がどれだけあるか把握しないまま登山をはじめとするアウトドアスポーツをしていると思います。

 

体力のつけ方

 登山に必要な体力は「行動体力」と「防衛体力」がありますが、ここでは「行動体力」のつけ方を紹介します。

  • 2時間連続ウォーキング

これは長時間の行動に耐えられる体力を身につけることが目的です。長時間登山靴で歩くことに慣れるために軽登山靴を履いて、体幹を支える筋肉群を鍛えるために総重量2~3kgのザックを担いで歩きましょう。ポイントとして、胸を張って姿勢を崩さず、バテないペースで歩きましょう。慣れてきたら少しずつペースアップをしていき、10kmを2時間で歩けるように目指しましょう。

 

  • 30分連続ジョギング

 これは高所でも息切れしない体力を身につけることが目的です。心肺機能を高め、全身に酸素を送る力が鍛えられます。ポイントとして、呼吸を意識して酸素をしっかり取り込みましょう。慣れないうちはゆっくり息がはずむ程度でいいですが、ウォーキングと同様に徐々にペースを上げ、30分で5km走れるように目指しましょう。また、ひざを痛めないように必ずジョギングシューズを履くようにしましょう。

 

  • 1分間連続階段登り

 これは急勾配にも負けない体力を身につけることが目的です。主に鍛えるのは太ももの前側の筋肉です。エレベーターのある7階(120段)以上の建物での実施が望ましいです。登りは階段を使い、下りはひざ痛や怪我防止のためにエレベーターを使いましょう。これも徐々にペースを上げていき、1分間で150段を5回連続で出来るように目指しましょう。

 

特別メニュー

 前回の歩き方でも紹介しましたが、少し荒っぽく若い人向けの「歩荷訓練」が体力をつけるのにも一番いいと思います。重たい荷物を持って歩き続けるということは登山の基本中の基本で、行動体力をつけるのにもってこいです。

 

最後に

 マラソンや駅伝で体力を使い切りゴール直後に倒れこみ運ばれていく姿をよく目にします。それらは決められた距離を万全のサポート体制が整っているので体力を使い切ることができるのであり、何が起こるかわからない登山ではできないこと、というよりやってはいけないことです。まずは自分の体力の現状を知り欠けているところを補って、80%の体力で行ける計画を立てて登山を楽しんでください。

 

総括

 心技体の3つの視点から遭難についてざっくりとまとめてみました。しかし、登山の中で特に大切だと思う3つのことを取り上げただけであり、これらがすべてではありません。そして、これらを理解するためにも、様々な登山の知識、そしてそれらが複雑に絡み合う状況に対して状況を把握し冷静な判断をする思考力も必要です。人それぞれ登山をしている理由やスタイルは違いますが、怪我をしに、死にに山に行く人は一人としていないでしょう。今年もいよいよ待ちに待った夏山シーズン到来です。自分が遭難者にならないためにも安全登山で最高の夏山を楽しみましょう!!

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